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THE TOOLS TYPE A-1

岡本博氏 インタビュー

日本で初めて「A-1」の存在を明らかにしたいとう、岡本博氏にA-1についての考えと、さらにはその時代背景、着用スタイルについてインタビューしました。

岡本氏の考える「A-1」とは?

「1920年代には当時の民間人のアウターとして、形がA-1に酷似したコサックジャケットというものが先に存在していた。アメリカの兵隊は人種の坩堝の民間人であり、歴史の浅い国なので、A-1は民衆の為にみんなで戦おうという意識を植え付けるため、威圧感をなくすべく民間服であったコサックジャケットに近いデザインをベースとし、さらに機能性を高めて企画された。」

→ 確かに当時は多くの衣料品メーカー(スポルディングのような)に製造を依頼している。後のA-2も同様で、より軍のミルスペック規格が精密になるという違いはあれど、国家予算を出して製作しているだけに、製造の規制レベルも高い。

当時の写真ではどのように着用しているのか?

「昔のアメリカ人は肩幅が狭く腕が長いので、だきを小さくして飛行機の中で動きやすく設定している。当時の飛行士の画像ではジャストサイズに近いフィットで着用しているものが多いが、それはあくまでも本人の着こなしのイメージである。飛行機の中ではフィットさせる必要があるが、リンドバーグや飛行士ではないマッカーサーなどはA-2を大きめで着用している。」

サイズに関して今回製作したジャケットの特徴は?

「大きなサイズについては、裾幅が出過ぎるとバランスがおかしくなるので、40サイズ以上のグレーディングは裾広なちょうちん型になり過ぎないように設定している。私も着用したが、肩の傾斜が良く、着用にストレスを感じない。A-2にくらべて肩のラインは少し後ろであるものの、傾斜が前倒し過ぎたり後ろ倒し過ぎないので、たすき(肩から胸にかけてたすきのように入る線)が入ることもない。 襟リブのスナップは当時と同じ位置に打ってあるので、外して着用するのが鉄則であり、着脱でリブから抜ける可能性もあるので注意が必要だが、トップボタンもひとつ外すくらいがちょうど良いと思う。」

最後に、塩谷兄弟と「THE TOOLS」をはじめる事への思いを教えて下さい。

「頑ななまでに、実際にあったものをベースにして忠実に再現するということ。これは私と塩谷兄弟の共通点であり、このブランドのベース(コンセプト)ともなっている。「過去のものを再現」という表現は今ではありふれたものかもしれないが、実際にそれを続けているメーカーは少ないと思う。それに対するリスペクトは大きいし、まったく同じではないにしろ、ウエアハウスのスタイルには共鳴できることが多い。
今回のA-1にしてもそう。過去の資料を集めることはできても、実物を探して見つけるなんて彼らぐらいにしかできないだろうからね。ボタンホールのためにミシンを用意したことにも驚いた。彼らとなら当時のことを色々と考えながら思いを共有し、面白いものが製作できると思った。
「本物を超える」。これはただ再現するだけではなく実際に着用できる衣料として実物を超えるということであり、それこそが現在に復刻することへの意義だと思っている。
「THE TOOLS」いうブランドネームは、アイコンである「S字スパナ」でしか届かない部分のことを指している。それは私たちでないと目の届かない着眼点や技術の象徴でもある。このブランドネームはいつか使いたいと考えていたが、彼らとのコラボレーションにこそ相応しいと思った。でも年に1アイテムしか作らないよ。彼らも私も、お互いにとても忙しいからね(笑)」